社労士試験講座ポイント解説

国民年金法


給付の制限について

1.給付制限の概要
国民年金法では、受給権者が一定の要件に該当した場合、年金の給付が制限されることがあります。この給付制限には、法律上必ず給付が制限される絶対的給付制限と、厚生労働大臣の裁量によって給付が制限される裁量的給付制限の2種類があります。

2. 絶対的給付制限
絶対的給付制限とは、法律に定められた一定の事由に該当した場合、必ず年金の給付が行われない、またはその一部が支給停止となるものです。厚生労働大臣の裁量の余地はありません。主な絶対的給付制限の事由は以下の通りです。
(1)故意の犯罪行為等による障害(国民年金法第36条)
被保険者または被保険者であった方が、故意の犯罪行為または重大な過失によって障害の状態になった場合、その障害を支給事由とする障害基礎年金は支給されません。
また、被保険者または被保険者であった方の故意の犯罪行為によって死亡した方の遺族に対しては、遺族基礎年金は支給されません。

3.裁量的給付制限
裁量的給付制限とは、法律に定められた一定の事由に該当した場合でも、厚生労働大臣の裁量によって年金の給付の一部または全部を制限することができるものです。必ず給付が制限されるわけではありません。主な裁量的給付制限の事由は以下の通りです。
(1)障害の程度が悪化した理由(国民年金法第41条)
障害基礎年金の受給権者が、正当な理由なく、その障害の程度を増進させるような行為によって障害の程度が悪化したと認められる場合、その悪化した程度に応じた年金の増額改定が行われないことがあります。

受験生の皆さんへ
絶対的給付制限と裁量的給付制限は、年金給付の原則に対する重要な例外規定です。それぞれの制限がどのような場合に、誰によって決定されるのかをしっかりと理解しておくことが重要です。特に、絶対的給付制限は法律上必ず適用されるため、その要件を正確に押さえておきましょう。裁量的給付制限は、厚生労働大臣の判断が介在するため、その裁量の範囲や考慮される要素についても理解しておくと良いでしょう。過去問などを活用して、具体的な事例を通して理解を深めてください。頑張ってください!

2025/4/10