社労士試験講座ポイント解説

健康保険法④

標準報酬月額について

本日は標準報酬月額について解説します。

(1)標準報酬月額とは
健康保険料や厚生年金保険料を計算しやすくするために報酬月額の区分(等級)ごとに設定されている金額のことです。健康保険法では1等級(5.8万円)〜50等級(139万円)まで定められています。

(2)標準報酬月額の決定方法
標準報酬月額は就職等で健康保険・厚生年金保険の被保険者になったときに決定します。その後は1年ごとに報酬額に応じて見直されます。具体的には以下のとおりです。
①資格取得時決定
事業主が労働者を雇用した場合、就業規則や労働契約等の内容に基づき、被保険者の報酬月額を届け出て標準報酬月額を決定する手続きを言います。例えば月給の場合には、月給として定められた額をそのまま報酬月額として届け出ます。
②定時決定
毎年1回決まった時期に、すべての被保険者について標準報酬月額の見直しを行なうために、4月から6月までの給与額の平均額を報酬月額として届け出て標準報酬月額を決定する手続きをいいます。

(3)標準報酬月額の改定
標準報酬月額は、はじめに「資格取得時決定」で届け出た後、原則年に1度「定時決定」見直します。しかし、報酬月額に大幅な変動があった場合や、産前産後休業・育児休業等を取得して職場復帰した場合は、その時の報酬月額に合わせて標準報酬月額を改定することができます。具体的には以下のとおりです。
①随時改定
毎月支給される賃金のうち支給額が決まっている手当など(基本給、役職手当、通勤手当など)に変更があったときに、変更後の報酬月額によって標準報酬月額を変更する手続きです。 月額変更(略称:月変)とも呼ばれます。
②産前産後休業・育児休業終了時改定
産前産後休業や育児休業を終了し職場に復帰後、被保険者の申し出により、産前産後休業の終了日の翌日の属する月以後3ヶ月間の報酬月額の平均によって標準報酬月額の改定を行う手続きです。

(4)標準報酬月額の特例
通常定められた方法によって報酬月額を算定することが困難な場合や著しく不当である場合、厚生労働大臣が報酬月額を算定し標準報酬月額を決定します。これを保険者決定といいます。

(本日のポイントまとめ)
・標準報酬月額は社会保険料を計算するための「算定基礎額」
・標準報酬月額は「定時決定」により年に1度見直される
・標準報酬月額は定時決定以外にも「随時改定」や「産前産後休業・育児休業終了時改定」により見直される
・報酬月額の算定が困難な場合等は厚生労働大臣が標準報酬月額を決定する

2022/1/19