社労士試験講座ポイント解説

厚生年金保険法④

特別支給の老齢厚生年金について

(1)特別支給の老齢厚生年金とは

厚生年金は65歳に達したことにより受け取ることのできる「老齢厚生年金」、障害状態になったことにより受け取ることのできる「障害厚生年金」、被保険者の死亡により遺族が受け取ることのできる「遺族厚生年金」があります。このうち老齢厚生年金は法改正以前だと60歳からもらうことができたため、生年月日によっては65歳前に老齢厚生年金を受け取ることができる方がいます。この65歳前から受け取ることのできる老齢年金を「特別支給の老齢厚生年金」と言います。

(2)特別支給の老齢厚生年の支給要件

特別支給の老齢厚生年金を受け取るためには以下の要件を満たしている必要があります。
①男性の場合、昭和36年4月1日以前に生まれたこと。
②女性の場合、昭和41年4月1日以前に生まれたこと。
③老齢基礎年金の受給資格期間(10年)があること。
④厚生年金保険等に1年以上加入していたこと。
⑤生年月日に応じた受給開始年齢に達していること。

(3)特別支給の老齢厚生年金の年金額

特別支給の老齢厚生年金の年金額は以下の2つから構成されます。

①定額部分
・年金額=1,628円✕改定率✕被保険者期間の月数
・被保険者期間の月数は、生年月日に応じて420月〜480月の上限が設定されている

②報酬比例部分
・年金額=平均標準報酬額✕給付乗率✕被保険者期間の月数
・平成15年3月以前の期間については平均標準報酬額ではなく平均標準報酬月額で計算する
・平均標準報酬月額は標準報酬月額の月平均額
・平均標準報酬額は標準報酬月額と標準賞与額の総額の月平均額

(4)特別支給の老齢厚生年金に加算される年金

特別支給の老齢厚生年金の定額部分を受給している者が一定の要件を満たした場合、以下の年金が加算されます。

①加給年金
・被保険者期間が240月以上あること
・受給権取得当時、生計を維持している65歳未満の配偶者又は18歳年度末までの子がいること
・年金額=224,700円/人✕改定率(子供3人目以降は74,900円/人✕改定率)

②特別加算
・受給権者の生年月日に応じて、配偶者加給年金に加算される
・加算額=33,200円✕改定率〜165,800円✕改定率
・特別加算は受給権者の生年月日が若いほど加算額が増える(昭和18年4月2日以降生まれで最高額165,800円加算)

(本日のポイントまとめ)

・特別支給の老齢厚生年金は65歳前から受け取れる老齢厚生年金
・男性は昭和36年4月1日以前、女性は昭和41年4月1日以前生まれの方が対象
・年金額は定額部分と報酬比例部分の2種類
・配偶者や子供がいる方は加給年金と特別加算が加算される

2022/1/23