社労士試験講座ポイント解説

健康保険法⑫

不正利得等があった場合の措置について

(1)概要

被保険者等が、保険給付を不正に受給した場合は、給付額の返還や給付制限の規定が適用されます。

(2)不正利得の徴収等

保険者は、不正受給があった場合、次の①〜③により給付額を徴収することができます。

①被保険者等が保険給付を不正に受給した場合、保険者はその者から給付額の全部又は一部を徴収することができます。

②①において、事業主や保険医等が不正に加担した場合、不正受給者と連帯して徴収金を納付させることができます。

③保険医療機関等が不正に医療費の支払いを受けたときは、当該医療費の金額に加え、当該医療費に100分の40を乗じた額を徴収することができます。

(3)保険給付の制限

保険者は、不正受給があった場合、次の①〜⑥により給付制限をかけることができます。

①被保険者等が、故意の犯罪行為等により給付事由を生じさせたときは、保険給付は行われません。

②被保険者等が、喧嘩、泥酔、その他著しい不行跡により給付事由を生じさせたときは、保険給付の全部又は一部を行わないことができます。

③被保険者等が、少年院、刑事施設、刑務所等に拘禁されている期間は、疾病、負傷、出産にかかる保険給付は行われません。

④被保険者等が、正当な理由なく療養の指示に従わないときは、保険給付の一部を行わないことができます。

⑤被保険者等が、不正に保険給付を受けたときは、傷病手当金又は出産手当金について、6ヶ月以内の期間を定めてその全部又は一部を支給しないことができます。

⑥被保険者等が、正当な理由なく必要な書類を提出しない場合や医療機関の受診を拒んだときは、保険給付の全部又は一部を行わないことができます。

(本日のポイントまとめ)
・不正受給があった場合は給付額の全部又は一部を返還しなければならない
・事業主や医療機関が不正に加担したときは連帯責任で返還義務が生じる
・医療機関等が医療費を不正受給したときの返還額は当該医療費の1.4倍
・故意の事故、喧嘩、泥酔等で保険事由が生じた場合は給付制限がある

2022/5/11