社労士試験講座ポイント解説

労働保険徴収法⑮

有期事業の一括について

(1)概要

同一事業主が、複数の小規模建設現場で事業を行なっている場合、それぞれの現場ごとに労働保険事務の処理をしていると煩雑になるため、要件を満たせば法律上当然に保険関係を一括しまとめて処理することができます。これを有期事業の一括といいます。

(2)要件

次の要件をすべて満たす必要があります。

①事業主が同一である建設の事業又は立木伐採業であること
②それぞれの事業が有期事業であること
③それぞれの事業の概算保険料が160万円未満であること
④素材の見込生産量が1000㎥未満であること(立木伐採業)
⑤請負金額が1.8億円未満であること(建設業)
⑥それぞれの事業の期間が他の事業と全部又は一部同時に行われていること(連続性)
⑦それぞれの事業の種類(労災保険料率)が同じであること
⑧それぞれの事業に係る労働保険料の納付が1つの事務所で一括して行うことができること

(3)効果

①1つの事務所で複数の事業場の労働保険料の事務処理を一括して行うことができる
②継続事業と同様に労働保険料の年度更新を行うことができる

(4)報告

一括有期事業の事業主は、毎年度6月1日から40日以内に一括有期事業報告書を労働局に提出する必要があります。(労働保険関係が消滅した場合は50日以内)

(本日のポイントまとめ)
・有期事業の一括は小規模工事現場の労働保険処理をまとめて行うことができる制度
・要件を満たせば法律上当然に行うことが可能
・概算保険料が160万円未満であることが要件
・複数の事業場をまとめて年度更新で保険料の申告・納付ができる
・年度更新期間内に報告書を労働局に提出

2022/6/7